日本で初めて確定死刑囚が再審無罪となった「免田事件」。免田栄さんは 1948 年に起きた強盗殺人事件の犯人とし て逮捕され、厳しい取り調べの末、一旦は自白。しかし、公判でアリバイを主張し全面否認に転じたものの 1952 年の最高裁判決で死刑が確定した。免田さんは無実を訴え続け、6 度目の再審請求でようやく無罪を勝ち取った が、死の恐怖と闘いながら獄中で過ごした期間は 34 年以上に及ぶ。2023 年はその再審無罪判決から 40 年。戦後 の混乱期、事件は見込み捜査や拷問が疑われる取り調べ、自白の偏重など「冤罪の原点」ともいえる要素が数多く 含まれている。「袴田事件」や「大崎事件」など、再審請求に よるやり直し裁判を求める事件が後を絶たない中で、免田事件の教訓が生かされているとは言えない状況だ。「冤 罪」の罪深さは、無実の人が自由を奪われる人権問題だけでなく、たとえ再審で無罪判決を受けても、その名誉回 復は容易ではないことを免田さんは生前、語っている。免田さんが生涯をかけて訴えた「人間の復活」という言葉 の重みをかみしめ、事件を振り返り、裁判員裁判が導入された現在、誰もが 「冤罪事件の当事者になり得る」との認識を高めるきっかけになればと制作した。
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